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せわしないと評判の日本人観光客はもちろん、欧米系個人旅行の若者でさえ四日ほど滞在するとみんなイースター島を去っていった。ロンリープラネットに「四日で十分」とか書いてあるのだろう。実際、名所を見て回るだけなら三日で済んでしまうのでそれ以上いても無駄といえば無駄だ。 「CABANAS VAIANNY」の客もいつの間にか俺以外の全員が入れ替わっていた。ハン君が去って、俺より後に入ってきたキャサリンが先に出ていき、フランス人カップルが挨拶もなく帰っていった。かわりにカナダ人コンビと青森県人がやってきた。 青森県人。 テラスでビールを飲みつつ本を読んでいたらテレサさんが新たな客を連れてきた。「コンニチハ」と声をかけられたので「こんにちは」と返す。 あれ?ほんとに日本人じゃねえか。 工藤さんは、東北地方出身じゃない人間が思い描く青森県人像そのままの人だった。ものすごく荷物が少なくてセカンドバッグをスーパーのビニール袋でくるんだものが二つだけ。いろいろなところを旅行していろいろな旅人を見てきたけれどスーパーのビニール袋で旅行している人を見たのははじめてだった。 「これ盗もうって人、まずいないでしょ」 それはどうだろう。ドロボー側の論理では国際線の飛行機に乗れる人間なんてどんなみすぼらしい恰好をしていてもみんな金持ちなのではないだろうか。現金五百ドルとカメラの一つくらい誰でも持っているわけだから。
カナダ人コンビは推定180cm63kgくらいのスマートな奴と推定165cm65kgのマッチョな奴だった。スマートは日本人とのハーフだという。 「日本語は話せないの?」
純粋カナダ人のマッチョが尋ねた。 「そんなことはない。体育の授業でやる学校は多いな。俺はクラブでやってたんだけど。ところでキミはフットボールプレイヤーか?すごい筋肉だな」
なんだそれって。オマエほんとにカナダ人か?スマートがマッチョに何事か説明すると彼はやっと理解したようだった。 「ああ。アメリカンフットボールか。俺がやってるのは(アイス)ホッケーだよ。カナダだからね」 そうか。俺から見たら同じ国にしか思えないんだけど確かにカナダはアメリカじゃないもんな。それって日本と韓国をまとめてワールドカップをやっちゃうような乱暴な考え方に違いない。
そういえば工藤さんもカナダ人コンビも、ハン君もキャサリンも、俺も、みんな社会人だった。学生はモアイになど興味を持たないのだろうか。航空運賃が高いからだろうな。きっと。
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